お役立ち情報
パワハラで労災認定を受けられる場合
1 パワハラの定義
パワハラは様々なシチュエーションで使われる言葉ですが、労災認定の対象となるのは、おもに、経営者と従業員、上司と部下、従業員同士の関係性のもと職場で行われるパワハラです。
厚生労働省は、職場におけるパワハラを、①優越的な関係を背景とした言動であって、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③就業環境が害されるものと定義しています。
②の判断にあたっては、様々な要素を総合的に考慮することになりますが、一般論として、業務上明らかに必要のない言動や相手の人格を否定する発言はパワハラとなる可能性が高い一方、重大なミスに対して強めの言葉で叱責することは、パワハラには該当しない可能性があります。
2 精神障害の労災認定基準
厚生労働省は「心理的負荷による精神障害の認定基準」を定め、労働者の精神障害が労災認定できるか、すなわち業務によって発生したものであるかを判断しています。
認定基準では、発病前のおおむね6か月間に起きた業務による出来事について、強い心理的負荷が認められる場合に、認定要件の一つを満たすこととなっています。
そのうえで、業務以外の心理的負荷や個体側の要因により発病したと認められない場合に、労災認定されることになります。
令和2年6月からこの認定基準が改正され、心理的負荷の評価の対象となる「出来事の類型」に、「パワーハラスメント」が追加されました。
これは、労働施策総合推進法の改正やパワハラ指針の策定により、職場におけるパワハラの定義が明確化したことを踏まえたものです。
3 パワハラの労災認定基準
具体的には、以下のような場合に心理負荷が「強」とされます。
- ・上司等による治療を要する程度の暴行等を受けた
- ・上司等による暴行等を執拗に受けた
- ・人格や人間性を否定するような、業務上明らかに必要性がない、または業務の目的を大きく逸脱した精神的な攻撃が執拗に行われた
- ・必要以上に長時間にわたる厳しい叱責、他の労働者の面前における大声での威圧的な叱責など、態様や手段が社会通念に照らして許容される範囲を超える精神的攻撃が執拗に行われた
- ・心理的負荷としては「中」程度の身体的攻撃、精神的攻撃当を受けた場合であって、会社に相談しても適切な対応がなく、改善されなかった場合