Q&A
精神疾患で労災は認められますか?
1 精神疾患の労災認定の困難さ
労働者のケガや病気が労災認定されるかは、そのケガや病気の発生が業務と因果関係があるか否かが大きな判断要素となります。
例えば業務中に発生した事故によってケガをした場合には、労働者に落ち度があったかどうかはともかく、業務との因果関係は明らかであり、労災認定される場合が多いでしょう。
一方で精神疾患の場合、発病した時点が事故のように明らかではなく、発病の過程を目で見ることもできないため精神疾患が業務を原因として発生したのかを判断するのは容易ではありません。
しかしながら、長時間労働や業務上の強いストレスを原因として精神疾患を発症するという医学的な知見があり、業務が原因で精神疾患を発症したと医学的に認められる場合には、労災認定して被災労働者を救済する必要があります。
そのため、一定の基準を満たした場合に労災認定をするための基準が設けられています。
2 精神疾患の労災認定基準
厚生労働省が定める基準の名称は、「心理的負荷による精神障害の認定基準」といいます。
この認定基準は、精神疾患が仕事によるストレスまたは私生活上のストレスを原因として、個人のストレスへの耐性、適応力等も関係して発症するという考え方に基づき、①認定基準の対象となる精神疾患を発病していること、②発病前おおむね6か月の間に業務による強い心理的負荷が認められることと、③業務以外の心理的負荷や個体側の要因により発病したとは認められないことの要件を満たした場合に労災認定をすることになっています。
3 業務による強い心理的負荷
認定基準では、業務による出来事を類型化し、「業務による心理的負荷評価表」でそれらの出来事による心理的負荷(ストレス)の強度を「特別な出来事」、「強」、「中」、「弱」と分類しています。
これらの評価にあたっては、労働者個人がその出来事を主観的にどう受け止めたかではなく、同種の労働者が一般的にどう受け止めるかという観点が採用されています。
「特別な出来事」に該当する出来事があった場合には心理的負荷の総合評価を強とし、「特別な出来事」に該当する出来事がない場合には、実際に起きた出来事を「業務による心理的負荷評価表」に当てはめて総合評価していきます。
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